Harmony of December


- これからも貴方と同じ時を重ねていきたいんです -


「基寿!起きろ!!時間だぞ?」

石川の声で目が覚めた岩瀬は、時計を見て驚いていた―
昨夜は二人で夜の散歩に出かけた後、一緒にバスで温もりそのまま眠りについた。
何時もなら、石川が起きる一時間前には眼を覚ましていたのに・・・
『・・・不覚っっ・・・!! 寝過ごすなんて!!!』と。岩瀬が激しく動揺していると、石川がクスリと笑った―

「悠さん?」
「いや・・・基寿が百面相してるから・・・面白くて」
「百面相って・・・」
「基寿も疲れてるんだよ・・・いつも護ってくれて有り難う・・・」
「悠さんを守ることは俺の仕事であり、誇りなんですから!!」
「うん・・・それでも、感謝してる」

石川は柔らかく微笑んで、そっとキスを落とす―

「悠さん・・・」
「だから、本当はもっと、ゆっくりお礼を言いたいし、寝かせてやりたいんだけど・・・そろそろ起きないとご飯を食べ損なうから・・・」
「あ!直ぐに起きます!!ちょっと待ってくださいね!!」

バタバタと着替えをする岩瀬を待って、石川は今日の天気などをTVでチェックする。
そしてダッシュで着替えた岩瀬はネクタイを片手に石川の元へとやってきて―

「お待たせしました!行きましょうか」
「あぁ・・・貸せ」
「え?」
「ネクタイ・・・結んでやるよ」

石川の嬉しい申し出に笑顔全開で、岩瀬はネクタイを石川の手渡す。そして―

「嬉しいんですが・・・時間大丈夫ですか?」
「まだ、大丈夫だよ・・・ほら、座る」
「はい」

石川の隣に座り、岩瀬はおとなしく顔を上げる。
そんな岩瀬の首にネクタイを掛け、ふと、石川は気付く・・・

「これ・・・随分とくたびれて来たな・・・」
「そうですね・・・かなり使ってますからね・・・」

苦笑と共に岩瀬の返事が変えてくる。
今、石川が手にしているネクタイは以前石川が『バレンタインのお返し』といって、岩瀬にプレゼントした物で―

「ここまで使えばネクタイも本望だろうな・・・」
「そうですね・・・」
「・・・今年のプレゼントはネクタイにしようか・・・」
「色違いとかいいですねvv」
「・・・ばれるだろう・・・」
「大丈夫ですよ!『仲いいな』ぐらいにしか思いませんって・・・」
「・・・・・・」
「悠さんは嫌ですか?『お揃い』」
「・・・嫌じゃないし・・・」
「じゃあ、今度の休みに買いに行きましょうね」
「うん・・・」

うっすらと赤くなって頷く石川の額にキスをして、岩瀬は微笑む。
そして石川も微笑み返して・・・

「出来た。・・・行くぞ」
「はい・・・あ!!!」
「なんだ?基寿」
「おはようの挨拶をしてません!!!」
「あ・・・」

チラリと時計を見て、『時間がない・・・』と言いかけた石川を抱き寄せ、岩瀬は『おはようの挨拶』をした。

「基寿・・・」
「悠さん、おはよう御座います」
「・・・おはよ、さぁ行くぞ」

岩瀬の腕を離れ、ドアを出ようとした石川に背後から岩瀬は声を掛ける―

「悠さん!これからも沢山『約束』しましょうね!」
「基寿?」
「悠さんとの『約束』が増えれば増えるほど、一緒にいる時間が長くなりますから―だから・・・」
「そうだな・・・沢山『約束』しよう・・・これからも一緒にいられるように」
「はい」
「行くぞ」
「はい」


これからも一緒にいられるように・・・これも『約束』の一つ。
そして、これからも増える『約束』に期待して・・・

今日も一日が始まる―




クリスマスまであと2日―









2006.12.23 UP